娘の誕生日にくまのぬいぐるみを買ってあげた。最初はとても喜んでいたが、すぐに全く遊ばなくなった。嫌いになっちゃったのと聞くとだって臭いんだもんとのこと。試しにくまを顔の近くにもってくると確かに臭い。なにかが腐ったような臭いがする。かわいそ…

親戚のおばさんから蟹が送られてきた。こんなこと始めてだったのですぐに電話しお礼を言った。商品にならない訳あり品がたくさん手に入ったので送ってくれたとのこと。一人暮らしを始めてから蟹なんて食べてなかったからとてもありがたい。食べてみると不自…

子供の頃お父さんと一緒に市民プールに行った。一人で泳げるようになっていた僕は黙々と泳ぐことに集中していた。ふと顔を上げるとさっきまで座っていたベンチにお父さんの姿がみえない。どこだろうと探すと反対側のベンチの前で知らない人と話していた。お…

なんだか最近部屋に一人でいる時に誰かに見られている気がしていた。専門家に頼み調べてもらうとリモコンの中から盗聴器がでてきた。誰が仕掛けたのか気になるがとりあえずは一安心だ。これでようやくゆっくりと仕事ができる。

イタズラ電話って本当にむかつく。最近毎日かかってきやがる。でても何も話してこないし目的はなんなんだよ。だから聞いてやったんだお前誰なんだよって。そしたらさ、まさかの外国人。全然わかんない言葉で話してきやがった。そういやあれ英語じゃなかった…

小学校の頃ヒロシというやつがいた。ヒロシの家はとても貧乏でいつもよれよれの服を着ていて、なんとなく皆んなから嫌われていた。そのヒロシを今日駅で見た。14年ぶりなのだが一目でヒロシだとわかったんだ。声をかけるとジッと見つめてきて、一言こう言っ…

喉が渇いたのでお茶を飲もうと冷蔵庫を開いた。なかにケーキが入っていた。しかもホールで。誰も誕生日じゃないのにな、そう思いお母さんに尋ねると父のだと言った。親父帰ってくんのか、僕は部屋に入りケーキを食べた。

ひと仕事終えたタイミングでコーヒーを飲むのが僕の習慣である。今も飲んでいるところだ。 今日は特にいい仕事ができたので最高のひと時である。 ふと携帯に目をやると警察署から連絡が来ていた。やれやれ、コーヒーを入れ直さなければ。

電車に乗り遅れそうだったので走ってホームに向かっていた。なんとか間に合ったようだ。その瞬間ドンっと誰かにぶつかった気がした。辺りを見回しても誰もいない。気のせいでよかった。

この動物園には20種類の動物がいる。昨日キリンがしんだので、今日新しくシマウマがやってきた。前にフラミンゴがしんだときはペンギンがやってきた。そういえば新人の田中くんにコウモリの餌やりを教えなきゃ。

雪山での遭難3日目。運良く見つけた山小屋の中に残っていた食料も残りわずかになっていた。チラリと横に目をやる。吹雪は一向に止みそうにない。なんとかしないと。幻覚なのか声が聞こえる。 「助けてくれー。」 次の日僕は助かった。

友達と河原でキャッチボールをしていると僕の投げたボールがそれて草むらに入っていった。こんなもん落ちてたぞ、友達が何やら本を手に戻ってきた。どうせエロ本だろうと思い近づくとそれはどこか外国の言葉で書かれている本だった。こんなもん捨てろよ、そ…

夏になると毎年おばあちゃんの家に行っていた。夏祭りの神輿をみるのが好きだった。大人たちが担ぐ神輿は小さな僕にとって憧れだった。「僕もお神輿担ぎたい。」そういうとおばあちゃんは「あなたは小さいからダメ。」と毎回言った。「大人になったらいい？…

料理をすることも買いに行くことさえもめんどうなので、最近は毎週末宅配ピザを頼んでいる。 チャイムが鳴りドアを開けるといつものお兄さんが立っていた。料金を払うといつもありがとうございますと言いニヤッとされた。 とても感じの良い人だ。ぱくっ。今…

推理小説を読んでいる。殺人鬼がマンションの住民を次々と殺していく内容だ。なかなか面白かったのでぶっ続けで3時間も読んでしまった。まもなく最後のシーンなのだが、ふとトイレに行きたくなり席をたった。結末は予想できている。

久しぶりに会った友人との会話が弾んでしまい、駅に着いた頃には終電はとうに出た後だった。タクシーで帰ろうと思い、乗り場に行ってみたがちょうど出た後で一台も止まっていなかった。徒歩で帰る道を検索してみると2時間かかるようだ。さすがに諦めた。漫画…

大学の頃仲良しグループ5人組で山登りに行った。AとBは楽しそうにどんどん登って行く。僕とCは体力に自信がないのでもっと休もうと提案した。AとBは全く話を聞いてくれなかった。ついに今まで黙っていたJが口を開いた。 「A、B！CDの話聞けよ！」 Jのおかげ…

6歳の誕生日に色鉛筆を貰った。嬉しくて嬉しくて毎日絵を描いた。赤が一番早く短くなっていった。次は緑。黒はずっと長いままだった。 7歳の誕生日また色鉛筆を貰った。青が短くなっていった。次は緑。黒はずっと長いまま。 色んな絵を描けて楽しかった。

15年も前の話だ。鍵を拾った。交番に届けに行くとパトロール中で誰もいなかった。帰ろうとするとちょうどお巡りさんが戻ってきた。鍵を渡そうとすると、どこで拾ったのと聞かれた。答えるとありがとうと言い奥へ消えて行った。とても疲れた。

我が家では良いことがあるとカレーライスが出てきた。テストで100点とった日も、かけっこで一等賞の日も、学芸会の主役が決まった日もカレーライスだった。卒業式もカレーかなと思ったけどその日だけは違うものが出てきた。でもそれはそれで嬉しかったなあ。

もっとスピードを出そうと思った。だってここは高速道路だし。もっともっとスピードを出そうと思った。エンジンの調子はすこぶる良いし。もっともっと、もっともっとスピードを。目的地まであと少しだから。

「うーん、どうしたものか。」 博士は全く動く気配のないロボットを見つめて頭を抱えていた。 「・・・・」 設計図は完璧のはずだった。なのになぜ動かないのだろう。 「こんなものこうしてやる。」 怒りだした博士は手に持ったペンチで思い切り殴ってしまっ…

小さい頃からヨーヨー釣りが得意だった。お祭りがあるたびに何個もヨーヨーを釣って友達に配っていた。中にはいらないと断るやつもいたが変なやつだったなあ。もうすっかり子どもとは呼べない年齢になったが今年の夏は久しぶりにヨーヨー釣りをやりに行くか…

目がさめると浜辺に打ち上げられていた。周りを見回すとナイフが落ちている。訳が分からないが、頭の整理をし助かる方法を考えよう。遠くで沢山飛んでいるあの鳥たちを捕まえることは出来るだろうか。

僕、毎日お父さんと公園で自転車の練習をしているんだ。誕生日に買ってくれたピッカピカの自転車。まだまだ転んでばかりだけど、補助輪はもう片方外してるよ。早く両方外せるように頑張んなきゃ。そういえばお父さん、外した補助輪はどこにしまっちゃったの？